アクィナス・キャプチャーのコンセプトは「内語をすべてテキスト化する」こと。内語っていうのは心理学用語で自分が心の中でつぶやく言葉のことです。それをキーボードを使ってすべてテキスト化する。
実はこの記事を書いたときに試してみて,すごく不思議な気分になったので,それをアクィナス・キャプチャーと名づけてみました。
サルノオボエガキ: EM・ONEと折りたたみキーボード
【やりかた】
・PCの前に座る
・キーボードのホームポジションに手を置く(左人差し指をFに右人差し指をJに)
・使い慣れたエディタを開く
・こころの中に少しでもよぎったことがあったら,脊髄反射というか脳髄反射的に書く。何も思いつかなかったら「何も思いつかない」と書く。
・バックスペースは極力押さない。変換間違いも気にしない。押したら負けと思え!
・前の文章に戻らず,上から順番に淡々と書いていく。
・文脈を気にしない。前後の文章が繋がってなくても全然OK。
・ひとつのテキストファイルにすべて書いていく。
・ひとしきりぱちぱちタイプしたら読み返してみる。レビュー重要!
【その効用】
・内語をテキスト化してそれを読むということは自分自身と話すこと。自分の気持ちが外部化されるのでなんだか不思議な気持ちになる。
・気になることがすべてテキストで残るので安心できる。
・こころのヨガというか,ストレッチのようなものだと思う。
【アクィナス・キャプチャーの例】
そうだニコニコ動画を試してなかった。
ただの真っ白い画像ってどうやって作るのだ?
それとも著作権的にOKそうなのをアップしてみるか?
過疎ってるやつを勝手に使うのがOKっぽいな
あーまたぶっ行き返すが聞きたくなった
機能はふとんのなかでそれがリピートリピートだったからなー
まずそれみてからだ。
やっぱりぶっ生き返すはさいこーや
一人カラオケで延々リピートしてやろうかしら
エーと何やるんだっけ。
アクィナスキャプチャーか?
それよりHWをもうチョイちゃんと読もう
そうこれやってると
内語にたいして反論するやつがでてきて
それにも反論というウロボロス的な奇妙な感覚になるのだ。
アキバで買うおrチェックするもの
ヘッドマウントディスプレイ
HHキーボード
あとVHSビデオデッキは買わなきゃ
昔のビデオキャプチャようね。
とまぁ,こんな感じです。なぜ”アクィナス・キャプチャー”と名づけたかというと,トマス・アクィナスの本の執筆状況に由来してます。トマス・アクィナスは「神学大全」という大著を口述筆記させていた。アクィナス・キャプチャーの場合はキーボードのタッチタイピングが口述筆記の役目をします。このアクィナスの執筆状況については,最近読んだ『記憶術と書物』という本で知りました。この本は中世人の頭脳構造がわかってかなり面白かったので別に感想書きます(アナログ・サイバーパンクな印象)。
トマス・アクィナスの執筆状況について同じ本から引用されているブログがあったので,リンクさせていただきます。
トマス・アクィナスの記憶・想起・執筆 - SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS
なぜ自分がこんなことを思いついたのか。きっと過去にみたことがあるものから思いついたはずなので,成分分析をしてみました。
【アクィナス・キャプチャーの成分分析】
・Texture Time - 移動について -,実例(50%)
via bulkneets。これとやってることはほぼ同じです。
・ユビキタス・キャプチャー(30%)
名前はインスパイァされてますw。コンセプトは似てるけど,これをミリセカンド単位でやるってこと。
・ニコニコ動画(10%)
重度のニコ厨の人は内語をすべてコメントしていると思う。
・Twitter(5%)
これを非公開でやる感じ。
・Changelogメモ(5%)
すべてを1ファイルに,というのはこれのパクリ。
【アクィナス・キャプチャーをやるためのツール】
・アクィナス・キャプチャーをやってると,行単位で更新時間を記録してくれるエディタが欲しくなります。いろいろ試してはみたので,それは別エントリで書きます。(追記:書いた)
・今のところ,秀丸エディタ+日付挿入マクロ+Mercurialって感じで落ち着いてる。Mercurialの使い方はたぶんノッフ!さんと同じ。
・hg -v serveして自分のアクィナス・キャプチャーをブラウザに表示させてからYHCっていうGreasemonkeyスクリプトで読んでみたけど,何というか強烈な体験。自分の内語をぱらぱら連続で見せられたことってある?
スライドショーのようにテキストを読むGreasemonkeyスクリプト、YHC - 実用
・ツールについては改善してく余地がありまくりだと思います。
内語について検索してたら「ヒーリングライティング」というのを見つけました。微妙に違うけど,やりたいことはこれと同じです。こちらは紙とペンで,何人かと同時にやるみたい。
ということで長々と書いちゃいましたけど,アクィナス・キャプチャーはPCとエディタがあればすぐに誰でも出来るのでやってみると良いんじゃないでしょうか。とっても不思議な感覚ですよー!
2 件のコメント:
半世紀以上も前にはやっていて、ジョイスやプルーストがそれをやりました。
「意識の流れ」をそのまま作品に載っけるっていうことですね。別に目新しくはありません。
> 匿名さん
コメントありがとうございます。
> 半世紀以上も前にはやっていて、ジョイスやプルーストがそれをやりました。
おぉ、やっぱり先達はいるものですね。文学には詳しくないので、助かりました。
私としてはアクィナス・キャプチャーを文学というよりも工学、記録することよりも記録された文章をいかに再生するか、というものとして考えています。
ただの凡人である私が勝手に名付けただけのものですが、「ジョイスやプルーストがPCを持っていて自らプログラミングができたとしたら何をやっていたんだろう?」と考えるとちょっと面白くなるんじゃなかろうかと思ってます。
ジョイス、プルースト、図書館で早速調べてみます!
コメントを投稿