2009-08-29

『サマーウォーズ』観てきた

映画「サマーウォーズ」公式サイト



とっても夏らしくって良かったです。十分楽しめました!
他サイトにも感想がいっぱい上がってるみたいだから、こちらでは箇条書きで簡潔に書いちゃいます。ネタバレ注意。

  • 冒頭のOZのグラフィック
    •  「そうかBDとかの規格は観る人間のためでなく、こういう映像を作れる人のために作られたのか」と思った。CGでどこまでも作り込めるってすごいけど、もうちょっとで人間の認知限界超えちゃうんではないかと心配になった。
  • 主人公
    •  「もう少しで数学オリンピックの日本代表になれた」。はいはい、数学オリンピック予選敗退の俺が通りますよ! 「もう少しで」ということはたぶん本選まで行けてそこで落ちたのか、本選は通ったけど成績不足でメンバに選ばれなかったのか。ヒロインに「何か出来ないの?」と言われて即座にカレンダー計算をしてみせるのはレベル高いぜ。合コンでもバッチリだ。
       ちょっと、というかかなりへたれな主人公がヒロインの涙で世界を救う決意をするっていうのはベタだけど良いなぁ。夏にエンターテイメントで観る映画ってのはこういうのでちょうど良いんですよ。
  • 大家族
    •  祖父が健在だったときは盆と正月はちょうどあんな感じだったなぁ。というか母が七人姉妹なのであれ以上。正月はお年玉が次から次へとやってきて笑いが止まらんかったわ(結局、母親銀行に強制預金されるのだが)。
       侘助さんみたいな嫌われっ子も居たりするのがリアル。家族は良いもんだけど、いろいろ気を遣うのでメンテナンスコストが高いのも確か。
  • おばあちゃん
    •  ヒロインの彼氏に「旧家出身、東大、海外留学経験あり」って条件を付けたのと、その後のスカッとした働きっぷりに違和感があったんだけど、「ハードルを上げておいて最低限ダメ男とは付き合わせないようにしたい」という老婆心だったんだろうかと思った。
       おばあちゃんが死んでしまうっていうのは個人的トラウマを刺激されまくりで涙腺決壊。おばあちゃんネタと犬ネタには勝てないよ!
  • 侘助さん
    •  あんた何でラブマシーンなんて名前付けてしもうたんや・・・。普通だったらヒロイン引いてるところだろ。
  • ヒロインのアバター
    •  和装だけど何となく巫女をイメージしているのかなと思った。クライマックスで世界の危機を背負って人知の及ばない脅威(AIラブマシーン)に立ち向かうというシチュエーションが、日照り続きの村で神に向かって雨乞いの儀式をする巫女さんという状況にダブって見えた。
       自分のアバターをヒロインに差し出すのは日本人的メンタリティ? 世界的な危機なら「ヘイガール、ミーが格好良くポーカーでラブマシーンをデストロイするからユーは下がっちゃいなよ!」という空気の読めないアメリカ人が4,50人は出てきそうなんだけどなぁ。
  • ラスト
    •  探査機が落ちた場所から温泉が湧いたのは噴いた。おそらくまたこの家族が集まるたびに伝説として語り継がれるんだろうなぁ。勝つんだったらこれぐらい大勝ちしてくれたほうが気持ちがよい。何となく日本昔話的オチ。
  • 物理部の彼は・・・
    •  主人公=世界の危機を救う+彼女ゲット、物理部の眼鏡の彼=部室に缶詰+サポートするも日は当たらず。どう見ても負け組です。ジャンケンに負けただけで酷い差です。何とか報われろ!

まとまらないので終了するけど、面白かったよ!!!


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2009-08-07

初チェックメイト!


iPod touchで負け続けていたiChess(Free版)でようやくチェックメイトを決めることが出来ました(私は白のほう)! 私は短気なせいか、こういうチェスとか将棋なんかのボードゲームは苦手なんですが、チェスのルールを覚えてから苦節三ヶ月、一番低い難易度だけどようやく勝つことができました。うれしー!

ちなみにこれを打ったのは徹夜明けで頭がろくに働かないときでした。眠気覚ましにやってたんですが、普段と違って余計な思考がセーブされてたのが良かったのか、いつのまにやら勝っていました。

さぁ、2勝目をあげられるのはいつになるのかな!?


チェス - Wikipedia



【最近読んだチェス関連記事】
公園のチェス王
 ハチワンダイバーの二こ神さんみたいなホームレスチェスプレイヤー。
ミモファント ("Bobby Fischer goes t...
 伝説的チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャー氏の小伝。
The Return of Dr. Hara
 以上2記事を訳された方のブログ(『マルチンゲールによる確率論』の訳者の一人でもあるそうでびっくりしました)

2009-08-05

『モンティ・ホール問題』を図で解説してみる

最近、数学付いているので調子に乗って、以下で出題されていたモンティ・ホール問題という確率の問題を考えてみました(問1のノーマルなやつだけですが)。

はてな民に確率の問題を出してみよう - Pashango’s Blog
【回答編】はてな民に確率の問題を出してみよう - Pashango’s Blog


一応、問題文をWikipediaより転載。
プレイヤーは、3つのドアを見せられる。ドアの1つの後ろにはプレイヤーが獲得できる景品があり、一方、他の2つのドアにはヤギ(景品がなく、ハズレであることを意味している)が入っている。ショーのホストは、それぞれのドアの後ろに何があるか知っているのに対し、プレイヤーはドアの後ろの様子はもちろん知らない。

プレイヤーが第1の選択をした後、ホストのモンティは他の2つのドアのうち1つを開け、ヤギを見せる。そしてホストはプレイヤーに、初めの選択のままでよいか、もう1つの閉じているドアに変更するか、どちらかの選択権を提供する。プレイヤーは、選択を変更すべきだろうか


もうすでに回答が出てるんですけど、自分自身の理解を深めるために図に描いてそれぞれ計算してみました。自分も含めて数学が苦手な人って、言葉で説明されると納得いかないけど、図で説明されるとなぜかあっさり理解できてしまうことが多いような気がします(右脳左脳タイプ?)。

(Powered by ZeptoPad)

上の図では、問題のなかのクイズ回答者が取り得るすべての場合分けを樹形図で描いています。矢印の上の数字は、その先の選択をする確率を表しています。左側から、回答者が最初のドアを選んだときの場合分け(自動車、ヤギ、ヤギがそれぞれ1/3)、次に司会者が開けるドアの場合分け(最初のドアが自動車の場合は1/2になるが、ヤギだった場合は選択の余地なくヤギのドアが開けられる)、最後に選択したドアを変更するか否かの場合分け(それぞれ1/2で結果はその横に)。

図をざっと見てみてどうでしょう? 何か納得がいかないところがあるでしょうか(絵が下手というのはおいといてw)? それぞれの矢印上の確率は独立なので問題ないと思います。最初にヤギを選んだ場合、司会者が開けるドアは必ずもう一つのヤギのドアだからそれは確率1になりますね。思うにこれがモンティホール問題のミソなんじゃないですかねー。


じゃぁ、気合いを入れて計算します。
まずは右端の結果について、それぞれが起こる確率を全部計算しちゃいましょうか。左端の支点から結果に続くルート上の確率を単純に乗算すれば良いはずです(それぞれ独立な事象が同時に起こる確率だから)。

(選択したドア,開けられたドア、結果)=確率とすると、
  1. (自動車,ヤギ、変更=ヤギ)=(1/3) * (1/2) * (1/2) = 1/12
  2. (自動車,ヤギ、不変=自動車)=(1/3) * (1/2) * (1/2) = 1/12
  3. (自動車,ヤギ、変更=ヤギ)=(1/3) * (1/2) * (1/2) = 1/12
  4. (自動車,ヤギ、不変=自動車)=(1/3) * (1/2) * (1/2) = 1/12
  5. (ヤギ、ヤギ、変更=自動車)=(1/3) * 1 * (1/2) = 1/6
  6. (ヤギ、ヤギ、不変=ヤギ)=(1/3) * 1 * (1/2) = 1/6
  7. (ヤギ、ヤギ、変更=自動車)=(1/3) * 1 * (1/2) = 1/6
  8. (ヤギ、ヤギ、不変=ヤギ)=(1/3) * 1 * (1/2) = 1/6
ふー、メンドクセ。


えぇと、話しを元に戻すと、分かりたいことは「自動車を当てるためには司会者がドアを開けたときに選択を変更すべきなのか」ということ。だから計算しなきゃいけないのは「図の結果で”変更”したときに自動車が当たる確率」です。そのためには「変更=自動車の確率/(変更=自動車の確率+変更=ヤギの確率)」を計算する必要があります。

(1/6+1/6) / (1/6+1/6 + 1/12+1/12) = (1/3) / (1/2) = 2/3

ようやく答えが出ましたね。2/3です。変更した方が確率が上がるみたいですね。「変更しなかったときに自動車が当たる確率」はこれの逆(余事象)なので1-2/3=1/3で出るんですが、折角全パターンを計算したので、これも泥臭く計算してみましょう。

(1/12 + 1/12) / (1/12+1/12 + 1/6+1/6) = (1/6)/(1/2) = 1/3

出ました。やっぱり変更しないと1/3のまんまです。

結論:モンティ・ホール問題では司会者がドアを開けたあとにクイズ回答者はドアの選択を変更すべきである。


間違えないようにかなり丁寧に計算したので、自分としては納得できました。ちなみに最初のこの問題を出題されている記事の問2の場合は、場合分けの樹形図が「選択したドア=ヤギ」→「開けられたドア=ヤギ」のルートが二股に分かれちゃって、それぞれ1/2になってしまうので、最終的にドアの選択を変更しようがしまいが関係なくなっちゃうみたいですね。


こういう場合分けの樹形図は、以下の統計学の教科書でベイズの定理の条件付き確率を説明するときに出されていました。このエントリの説明はその教科書に習ったかたちになります。大学で使ってたけど、この教科書は分かりやすかったな~。

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確率論はバクチの裏技から始まって、近代になってからきちんと数学的な理論付けがされて、今では金融取引からGoogleページランクまでいろいろ使われてますが、確率論が現実生活においてどのように対応しているのかということは、未だ解決されていない哲学的問題だそうです。このあいだ読んだ『統計学を拓いた異才たち』という本に書いてありました。何だかここらへんにはカイブツが潜んでそうな気配がするな-。

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出題されていたブログでは次にベイズの定理について解説するらしいので、楽しみに待ってます。ベイズの定理には大学の研究でだいぶお世話になったのでw

2009-08-03

Mathematical Monday

なんだか数学付いた一日でした。


最近なぜか自分の中で数学熱が再燃してます。いろいろ図書館で本を借りてきてうんうん唸りながら読んでます。今日、読み終えたのは『ファインマンさん、力学を語る』という本。




物理の本なんですが、惑星軌道のケプラーの法則を幾何学的に証明する、というファインマンさんが実際に行った講義を収録した本です。よく知らないけれど、普通は大学でこれを教えるときは微積分を使って証明するらしいんです。しかしファインマンさんはニュートンの『プリンキピア』に習って幾何学的に証明することにチャレンジしたそうです。さて微積分と幾何学とどっちが分かりやすいか? それはこの本の一節が物語っています。
「簡単なことには簡単な証明がある」と、ファインマンはその講義ノートに書きました。それから彼は、二番目の「簡単」を消して、それを「初等的」と書き直しました。
証明の筋を追うのが正直大変でした。幾何学の証明を文章で説明されると軽く混乱します。でも最後まで読んで、最初の方を読み直すとすごく分かりやすい。それに図形による説明が、なんだか奇跡のようにぴったり符合する様子が美しいと思いました。

本当をいうと、この本を読むのはこれが5,6回目で、今までは途中で挫折していました。でも今日改めて読んでみたらようやく分かった(ような気がする)。
なんだか27歳になっても分からなかったことが分かるようになるという成長の証を感じ取れると嬉しいですね。
でももう一回ぐらい読み直して見ようかな。




あともう一つ。「4で割って1あまる素数は2つの平方数の和で表される」という定理があります。たとえば、13=4*3+1=2^2+3^2、17=4*4+1=1^2+4^2、29=4*7+1=2^2+5^2などなど。
これにはDon Zagierさんのワンセンテンス証明(one-sentence proof)があります。私はこれを数学セミナーの2000年9月号の記事で初めて知ったんですが、あまりに簡潔すぎてびびりました。実際の証明はWikipediaのこの記事(一文証明の項)を参照。

実際の証明はWikipediaやこちらのテキストで確認できたんですが、なぜそうなるのかちゃんと理解できてませんでした。それで今日はガシガシ計算してようやく全部納得できました(最初記号を写し間違えて計算が合わなくて困ったのは内緒だ!)。

結果だけいうと、最初の変換の不動点はx=yですね。あと変換の場合分けを(1)、(2)、(3)と順番に名付けると、(2)→(2)または(2)→(1)→(3)→(1)→(3)→・・・という変換の順序になります。不等式を計算してみれば分かりますよ-。

いやー、計算しててちょうど上手くいくのが奇跡的に思えましたね~。それにしても謎なのはZagierさんがどうやってこれを思いついたか。世の中には恐ろしく天才な人がいるもんですねー。
ちなみにZagierさんのご尊顔はWikipedia記事で見られます。髭がプリチー。




そんなこんなで数学に頭を使った一日でした。脳が疲れたので今日はよく眠れそうですw