2008-01-25

本『記憶術と書物』と「アナログ・サイバーパンク」

映画版のハンニバルを見た人は多いだろうけど,原作のハンニバルを読んだ人はどれくらいいるのでしょうか。原作のハンニバルでは,主人公のハンニバル・レクター博士の「記憶の宮殿」というものが出てきます。記憶の宮殿とは,レクター博士の脳内にある架空の建造物で各種記憶を整理しておくための脳内システムです。

これを読んで私も記憶の宮殿が欲しくなりました。そこでいろいろ記憶術の本を探していて,この『記憶術と書物―中世ヨーロッパの情報文化』という本に行き当たりました。記憶術のノウハウ目当てで読んだんですが,予想外に中世の人たちの精神構造が書かれていて,とても興味深かったです。

おそらくこれほど一人の人間がたくさんの情報に自由にアクセスできる時代はかつて無いのではないでしょうか。中世では本を読むのも一苦労。そもそも本の数が少ない。読むには特別な資格が要る。現在とは本に対する概念がまったく違っていたようです。つまり本はすべて写本であり,写し間違いが当たり前だった。だから本よりも確かな記憶を必要としていた。

アクィナス・キャプチャーの記事でも書きましたが,トマス・アクィナスは神学大全という大著をすべて脳内で書いていたようです。その精神世界は何というか,攻殻機動隊の電脳空間を想像しました。アナログ・サイバーパンクって感じで格好良かったです。

えーと,この記事では記憶術のノウハウについても書こうと思ったんですが,面倒くさいので読書中にとったノートをそのまま載せちゃいます。

【読書ノート】
・記憶術のノウハウ的な面を中心にメモりました。

【参考リンク】
トマス・アクィナスの記憶・想起・執筆 - SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS
 同じ本の感想です。
記憶術 - Wikipedia
より詳しい情報はこれで。


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